召使に同情せよ

一日一言(新渡戸稲造)

私の尊敬している教育者の一人である新渡戸稲造先生。
有名なのは著書『武士道』、国際連盟事務次長、東京女子大学初代学長という経歴はご存じのことと思われる。
また、今回のお札改定変更で同じ教育者の津田梅子氏へと交代したが日本銀行券の五千円券の肖像としても知られているはず。

この人が自分の助となつた格言を集めて、その日その日の教訓になる格言を日本人が理解できるように、また、簡単な文章で一日の精神的糧になるようにと書き残したのがこの文書である。ただ、1915年(大正4年)の脱稿なので、また、文語文の形態から令和のZ世代人は理解できるかなは甚だ疑問であるが…

もう一つの特徴としては一日分を声高らかに誦(しょう)しても一分以上を要しない短文であるということ。
あなたも私のブログを見ながら音読してみませんか?

今日の糧を得られるかもわかりませんよ。

九月十八日【召使に同情せよ】

特に注意すべきことは、召使の下女下男の人格を尊ぶことである。朝早くより夜遅くまで、自分の時といふ間はなく、食膳の前にさへ落付きて坐れず、機械の如くに間断もなく勘く彼等に対し、客扱には出来ずとも、せめて言葉ぱかりも穏かにして、尊敬の意を表はしたい。
 わづかなる庭の小草の白露を求めて宿る秋の夜の月
 庭におふるちりちり草の露までもかげをほそめて月ぞ宿れる