発芽も収穫も天意

一日一言(新渡戸稲造)

私の尊敬している教育者の一人である新渡戸稲造先生。
有名なのは著書『武士道』、国際連盟事務次長、東京女子大学初代学長という経歴はご存じのことと思われる。
また、今回のお札改定変更で同じ教育者の津田梅子氏へと交代したが日本銀行券の五千円券の肖像としても知られているはず。

この人が自分の助となつた格言を集めて、その日その日の教訓になる格言を日本人が理解できるように、また、簡単な文章で一日の精神的糧になるようにと書き残したのがこの文書である。ただ、1915年(大正4年)の脱稿なので、また、文語文の形態から令和のZ世代人は理解できるかなは甚だ疑問であるが…

もう一つの特徴としては一日分を声高らかに誦(しょう)しても一分以上を要しない短文であるということ。
あなたも私のブログを見ながら音読してみませんか?

今日の糧を得られるかもわかりませんよ。

九月二十五日【発芽も収穫も天意】

事の成る成らぬは天に任し、自分は偏(ひとえ)に其日其日の務を全うすれば足る。其の結果が思ふ通りに行かずとも、之れ必ずしも失敗でない。植うる種子は一月で生ゆるもあり、百年後に芽(めざ)すもある。人生は限りなきの播種(たねまき)なり、発芽も収穫も天意にあり。
 明治天皇御製
 むらぎもの心の限り尽してん わが思ふこと成るも成らずも
※「むらぎも」とは「心」にかかる。心は内臓に宿るとされたことからか。「むらぎもの」とも。