寛宏なれ

一日一言(新渡戸稲造)

私の尊敬している教育者の一人である新渡戸稲造先生。
有名なのは著書『武士道』、国際連盟事務次長、東京女子大学初代学長という経歴はご存じのことと思われる。
また、今回のお札改定変更で同じ教育者の津田梅子氏へと交代したが日本銀行券の五千円券の肖像としても知られているはず。

この人が自分の助となつた格言を集めて、その日その日の教訓になる格言を日本人が理解できるように、また、簡単な文章で一日の精神的糧になるようにと書き残したのがこの文書である。ただ、1915年(大正4年)の脱稿なので、また、文語文の形態から令和のZ世代人は理解できるかなは甚だ疑問であるが…

もう一つの特徴としては一日分を声高らかに誦(しょう)しても一分以上を要しない短文であるということ。
あなたも私のブログを見ながら音読してみませんか?

今日の糧を得られるかもわかりませんよ。

九月二十八日【寛宏なれ】

我れに害を加ふるものあるとも寛大に容(ゆる)せ。我れもし彼れの身であつたなら、定めしもつと害を加へたであらうと想ひやれば、彼の力の少きは本不憫に思はるる。我れ彼れの企てし程の害を蒙らざるに、彼れこそ自ら重傷を負ひしもの。月はその光を覆はんとして果し得ざる村雲を不憫と思ふであらう。
 大空を照り行く月し清ければ くもかくせども光り消なくに (敬信尼)
狭くとも住居は足りぬ広くせよ おのが心を天土のごと