一日一言(新渡戸稲造)
私の尊敬している教育者の一人である新渡戸稲造先生。
有名なのは著書『武士道』、国際連盟事務次長、東京女子大学初代学長という経歴はご存じのことと思われる。
また、今回のお札改定変更で同じ教育者の津田梅子氏へと交代したが日本銀行券の五千円券の肖像としても知られているはず。
この人が自分の助となつた格言を集めて、その日その日の教訓になる格言を日本人が理解できるように、また、簡単な文章で一日の精神的糧になるようにと書き残したのがこの文書である。ただ、1915年(大正4年)の脱稿なので、また、文語文の形態から令和のZ世代人は理解できるかなは甚だ疑問であるが…
もう一つの特徴としては一日分を声高らかに誦(しょう)しても一分以上を要しない短文であるということ。
あなたも私のブログを見ながら音読してみませんか?
今日の糧を得られるかもわかりませんよ。
十月一日【銭遣い】
天保六年(西紀一八三五年)の今日天保銭が鋳造され、明治三十年(西紀一八九七年)の今日金貨本位制実施さる。
金銭に淡泊なるは誰人も誉むれど、人より強請(ゆす)り取りたる金は湯水の如く用ゐても誉むるに足らず、額に汗して得たる金なりとて、義理まで欠きて貯ふる要なし。
銭金はつかひ捨てるも白痴(たわけ)者食はずに溜める人も馬鹿者