行脚の掟

一日一言(新渡戸稲造)

私の尊敬している教育者の一人である新渡戸稲造先生。
有名なのは著書『武士道』、国際連盟事務次長、東京女子大学初代学長という経歴はご存じのことと思われる。
また、今回のお札改定変更で同じ教育者の津田梅子氏へと交代したが日本銀行券の五千円券の肖像としても知られているはず。

この人が自分の助となつた格言を集めて、その日その日の教訓になる格言を日本人が理解できるように、また、簡単な文章で一日の精神的糧になるようにと書き残したのがこの文書である。ただ、1915年(大正4年)の脱稿なので、また、文語文の形態から令和のZ世代人は理解できるかなは甚だ疑問であるが…

もう一つの特徴としては一日分を声高らかに誦(しょう)しても一分以上を要しない短文であるということ。
あなたも私のブログを見ながら音読してみませんか?

今日の糧を得られるかもわかりませんよ。

十月十二日【行脚の掟】

元禄二年(西紀一六八八年)の今日芭蕉が死んだ。彼の行脚の掟に曰く。
 他の短を挙げて己が長をあらはす事勿れ
   人を謗りて己に誇るは甚だいやしき事なり
 主(あるじ)あるものは一枝一草といへども取るべからず
   山川江沢にも主あり、つとめよや
 山川旧跡したしみたづね人るべし
   新に私の名をつける事勿れ