清濁併せ呑む

一日一言(新渡戸稲造)

私の尊敬している教育者の一人である新渡戸稲造先生。
有名なのは著書『武士道』、国際連盟事務次長、東京女子大学初代学長という経歴はご存じのことと思われる。
また、今回のお札改定変更で同じ教育者の津田梅子氏へと交代したが日本銀行券の五千円券の肖像としても知られているはず。

この人が自分の助となつた格言を集めて、その日その日の教訓になる格言を日本人が理解できるように、また、簡単な文章で一日の精神的糧になるようにと書き残したのがこの文書である。ただ、1915年(大正4年)の脱稿なので、また、文語文の形態から令和のZ世代人は理解できるかなは甚だ疑問であるが…

もう一つの特徴としては一日分を声高らかに誦(しょう)しても一分以上を要しない短文であるということ。
あなたも私のブログを見ながら音読してみませんか?

今日の糧を得られるかもわかりませんよ。

十月二十二日【清濁併せ呑む】

心は、寛大にせんと思へば幾らも寛大になる。人を容れる度量は、心懸け次第にて広くも狭くも慣らすことを得るものである。世を渡るには、清濁併せ呑む位の心がなければ大事は出来ぬ。
悪しくともたゞ一筋に捨つるなよ 渋柿を見よ甘ぼしとなる
大空はただ我が心一つにて 月日も星もあらはれにける
※「甘ほし」とは甘くするために、渋柿の皮をむいて少し日に干すこと。また、その柿。甘干し柿。