一日一言

退いて己れに問へ

人若し我を誉めなば退いて自ら問へ、我れ之に値するやと。誉を聞いて心に恥ぢなば値する程に進め。人若し我を謗らぱ退いて己に問へ、我れ之に値するやと。譏(そし)りを受くる理由我身に存せざれば、譏る者の不明を憫み、彼等の眼の開くを祈れ。今日ほめて明...
一日一言

大発見の初段

己の行ひを世間並に比し、或は己に劣る者に較ぶる故、左程悪しとは思はぬが、神や聖人と比するまでにほ行かずとも、己の心に照らしても甚足らぬを発見する。此の発見こそ、更に大なる発見の初段。 人は善し己は悪しと思ふにも 何所(いづこ)も無為の住家な...
一日一言

好意の勧誘

親戚主人朋友の勧めにも善と悪とある故、如何に好意の勧誘なればとて、善悪の分別なく従うてはならぬ。是れ、彼等の言に背くに有らず、本心に従ふのみ。親権もなほ良心の命令には及ばず。 曳かれなば悪しき道にも入りぬべし こゝろの駒に手綱ゆるすな一日一...
一日一言

慾の学理

権利も義務も道理(もっとも)ではあるが、いはゞ慾の学理に過ぎない。慾で繋がれる社会には道理至極の理論なれど、夫婦、親子、兄弟、朋友の間柄には、愛と真心を以て此れに代用したし。 兄弟が田を分取りの争ひは 田分けものとや人のいふらん 親友の仲も...
一日一言

生存の法則

情慾は生存の法則なれば、全くこれを無視するは不合理の要求である。故にこれを尊重するの道も設けてあるが、さてその道の広狭は兎も角、世の道と認められたるものは、破れば必ず罰あるものと心得べし。 修行者は男女のなかを遠さげよ 火には剣もなまるもの...
一日一言

召使に同情せよ

特に注意すべきことは、召使の下女下男の人格を尊ぶことである。朝早くより夜遅くまで、自分の時といふ間はなく、食膳の前にさへ落付きて坐れず、機械の如くに間断もなく勘く彼等に対し、客扱には出来ずとも、せめて言葉ぱかりも穏かにして、尊敬の意を表はし...
一日一言

得手勝手の弁護

同じ過を為しても、我がすれば過てる理由を述べて弁護するが、他人には、我れ以上の理由ありしならんことを思はぬ。自ら銭を惜めば、惜む理由を説きて節倹といへど、人が惜めば、己れ以上の理由あるをも訊ねずして、直に吝嗇(りんしょく)といふ。 知らぬこ...
一日一言

旗文

非は理に勝事(かつこと)あたはず。理は法に勝事あたはず。法は権に勝事あたはず。権は天に勝事あたほず。天は明にして私(わたくし)なし。一日一言(新渡戸稲造)私の尊敬している教育者の一人である新渡戸稲造先生。有名なのは著書『武士道』、国際連盟事...
一日一言

善行する日が吉日

好しと認めたものは、即座に実行に取りかゝるがよし。躊躇する間に決心は薄らぐ、善事を為すに月日を選ぶ要はない。善行する日は吉日、吉日を待つ間に吉日は去り行きて凶日のみ残るなり。 明日よりほあだに月日を送らじと 思ひしかども今日も空しく明日とい...
一日一言

心の闘ひ

慶長五年(西紀一六〇〇年)の今日は、天下分け目の関ケ原の大合戦ありし日である。其後二百余年の泰平続けり。吾人の一生にも必ず命を賭して戦ふべき時は免れ難い。其の日は今日か明日かと待たずとも、将に眼前に迫り、時々刻々動員令が行はれ、既に戦闘が開...