一日一言

知るは行ふ為

道は説く人あれども之を知る人は鮮し。之を知る人はこれあり、これを行う人は鮮し。説くことを得ずとも、之を知るは説くに勝れり。説くは之を知らんがため、知るは之を行ふがためなれば、之を説きて知らざらんは説かざるが如し。之を知りて行はざるは知らざる...
一日一言

衆生本来仏なり

正保二年(西紀一六四五年)の今日沢庵和尚が七十三歳で寂し、又、明和五年(西紀一七八六年)の今日白隠和尚が八十四歳で寂した。白隠の和賛に曰く、 衆生本来仏なり、水と氷の如くにて、水を離れて氷なく、衆生の外に仏なし。衆生近きを知らずして、遠く求...
一日一言

無価の宝

高の知れたるこの世に、殊更争ふほどの事甚だ尠し。無上に貴きものは争では得べし。日光も無償、月も代価なく、花も公開。小児の笑、親の心、友の信義、神の恩恵、仏の照護は到る処に溢れあり。金銭を払ふて獲る物は、皆値段に限りあるもののみ。金では買われ...
一日一言

善意に解せよ

人の動機はなるべく好意を以て解すべし。証拠もなきに何故疑はん。人の言行を曲げて解するは、人に対して不親切なるのみならず、己に対しても不忠なり。罪ある人さへ宥すべきに、罪なき人を悪様に考ふるは、自己の思想を卑くするなり。 悪しきをも善しととり...
一日一言

慈善とは何か

慈善をしたと思ふは大の過。真の慈善は布施者の自覚に上らぬ。当人の知らぬ所に慈愛がある。知りて施せば最早慈善でないのみならず、怨を受くるもととなる。 陰徳の報を知らばまのあたり 蒔きたる種のはえるのを見よ 他をめぐみ我を忘れて物毎に じひする...
一日一言

善言に耳を傾けよ

好き事なら子供の口から出やうが乞食の言であらうが、大慊な仇敵より伝はらうが、耳を傾けて受け、よく噛み味へば聖賢の金言に値す。 言ふ人の体はし見るな兎も角も 能きこと取りて我が徳にせよ 言ふ人の高き賤しきえらばずに 能き言の葉は我が事にせよ一...
一日一言

死に応ずる心得

元禄十三年(西紀一七〇〇年)の今日徳川光圀卿が歿した。本年もいよいよ歳暮に近づいたことは誰しも心付けど、我が寿命も追々最後の日に近づくことは更に思を寄せない。然るに、上下貧富の区別なく、一とさらひに掻き集めて行くものは死である。死の手が何時...
一日一言

世の交りの道

汎(あまね)く衆を愛して仁に近くと云へり。汎く愛すとは、凡そ世の交りの道なり。仮令よからぬ人なりともそむき棄つる心あるべからず、憐み助くる心ありて、我仁徳を害ふべからず。仁に近づくとは徳を修むるの道なり。汎く交はる内にて、仁賢なる人をば我よ...
一日一言

心配の仕溜

心配の仕溜の役に立たぬことは食ひ溜と同様なり。食事は腹の空いた頃に営むべく、時を計りて豫め註文も出来るが、世の中の事は予想通りに起こらぬ故、かねての心配は無益となる。ただ平素消化器の健全に注意するは必要。日頃から判断力を養ふて置けば事に当た...
一日一言

疳癪の土産

怒るべき人に怒るは未しものこと、その怒を罪もなき人に移すは、短慮も愚を越えて狂に近い。役所や店などで争つて、疳癪の土産を我家に持ち込み、何も知らぬ家族に当り散らすなどは世に少からず。 なぐるなら噛みつく犬を擲るべし などか家なる猫叱るべき一...